+ちょっとした関係+ |
「ヴィオ、ちょっと笑ってくれません?」 気だるげに身体を起こし見下ろしてきたと思えば、急にユーラはそんな事を言う 怪訝そうな表情を浮かべ、ヴィオルはユーラを見上げる 「笑って・・・くれません?」 再度言われるが、ヴィオルはその表情を崩さない やがて諦めたのか、ユーラは再びヴィオルの横に転がる 少しふてくされたような彼の様子に嘆息しながら、ヴィオルはユーラのほうへ身体を向ける 「・・・いきなり笑えと言われて、笑えるヤツはそういないと思うが」 そう呟くヴィオルのほうは見ず、ユーラは言葉を返す 「ヴィオはいきなりでなくても、笑ってくれたことなど無いじゃないですか」 確かにヴィオルは普段から、その硬い表情を崩さないため、近寄り難いと言われることもある ユーラの前では、あまり気にした事もなかったが・・・ 「俺には、笑うというのがどういう事か、よくわからない。お前はよく笑っているけど・・・俺には・・お前のように笑えない」 「私と一緒にいて、楽しいですか?」 今度は身体を反転させ、ユーラはヴィオルをまっすぐに見つめる その視線に逃げることなく、ヴィオルは小さく頷いた 「楽しくなければ、一緒にいない。つまらなかったら・・・お前を愛したりしない」 「なら、笑えませんか? 楽しい事を思い出せば、貴方も笑えるはずでしょう?」 ―――しばらくの沈黙 ヴィオルはユーラから視線を外すように、顔を背ける 「・・・すまない」 どこか切なげなため息が聞こえる 振り向いた先で、ユーラはゆっくり立ち上がると、何も言わずに自分の島へ戻っていった 一人取り残されたヴィオルは、彼を想いゆっくりと目を閉じる ただ笑えというのなら、簡単だ 笑いの呪文を唱えればいい そうすれば、頭の上にポン!と顔がでて、自分の代わりに笑ってくれる しかし、その方法は表面上しか見せていない 本当の気持ちを表していない ユーラが望んでいるのは、本当の笑顔・・・本当の素顔・・・ 「俺は――」 恐れているのかもしれない 素顔を見せれば、何もかもをさらけ出してしまうかもしれないから 自分の醜い欲望までも――――― 不意にユーラの顔が頭に浮かぶ いつも笑顔を浮かべている彼は、笑顔という仮面で自己をコントロールしているのだろうか 先ほど、いつになく真剣な表情を見せた彼は、心を許して笑顔の仮面を剥いだのだろうか 「・・・恐れる必要なんて、ないのにな」 自嘲気味に呟き、ヴィオルは身体を起こす 行かなくてはならない 彼が待っている場所へ 島への道を示す呪文を、ヴィオルは静かに唱え始めた 「・・・ユーラ」 遠慮がちなヴィオルの声にも反応せず、ユーラは彼に背を向けただ島の夜空を眺めている 「怒っているのか?」 問いかけの後、しばらくしてから、いーえ・・・と素っ気無い返事が返ってきた 「じゃあ、拗ねてるのか?」 さすがにその言葉に、ユーラは顔を顰めながら、首だけヴィオルのほうを向く 「私は子供じゃありません」 「ならこっちを向いてくれてもいいんじゃないか?」 軽くヴィオルを睨み、ユーラはまた夜空を眺める 「ユーラ!」 「そんな事を言いに来たのではないでしょう?」 「・・っ・・・わかった」 フワリとした羽根の島を踏みしめ、ヴィオルは背を向けたままのユーラを後ろから抱きしめる 全てわかっているのか、ユーラは何の反応も示さない それでも構わず、ヴィオルはさらに強く抱きしめた 「お前が何を望んでいるかわかっていたんだ。だが、俺は・・・こんな性格だから、お前の望むものを与えられない。 お前はいつも笑顔を浮かべているが、俺の前ではその仮面を外したよな・・・ 俺は―――」 「・・・ムリに笑わなくてもいいんですよ。私の望んでいる事がわかっているのでしょう? 私が見たいものを、貴方もわかっているはずですよね」 空を向いたまま、ユーラは静かに答える 「わかっている・・・」 小さなため息の後、ユーラは後ろに振り返ると、そのままヴィオルの腕の中で目を閉じる 少し強張ったようなヴィオルの反応も、ユーラは気にしない 「そんなに壁を作らないでください。私の前にいる時くらい、もっと素顔の貴方を見せてください」 「あぁ・・・ でも、俺がタガを外してしまったら・・・お前を傷つけるかもしれない。俺の中に眠る醜いものが出てきてしまうかもしれない」 「構いませんよ。貴方の中に眠る欲望も罪の意識も何もかも―― それは全て貴方という人格を形成する一部分でしかありません。そんな一部分を含めて、私は貴方という・・・ヴィオルという人物を愛しているんですからね」 「・・・ユーラ」 閉じていた目を開け、ユーラはいつもの微笑を浮かべながらヴィオルを見上げる 「貴方は私の事、愛しているんですよね?」 「・・・言わなくてもわかるだろう。お前の存在が俺にどれほどの影響を与えているか・・・」 少し必死なヴィオルの様子を見て、ユーラはクスクスと声をあげて笑う 「ユーラ!」 「すいません。でも、こんな真剣なヴィオを見たのは久しぶりだったので・・・ どうです? 自分の感情を素直に出して告白するのは」 にーっこりと微笑むユーラを見て、ヴィオルは思わずその視線から逃れるように顔を背ける その頬が少し赤く見えるのは気のせいではないらしい 「・・・やはり、お前の前で素直になるのは間違いのような気がする」 「そんなこと言わないでください。私は嬉しいんですから」 諦めにも似た深いため息を吐いてから、ヴィオルはユーラに軽くキスを落とした ヴィオルの口唇を受けつつ、ユーラはヴィオルに小さく伝える 「ヴィオ。一つだけ約束してください」 「・・・何を?」 「貴方の素顔を見せるのは、私だけに―――」 言葉の最後はヴィオルからのキスで消える 了解の証を受け取り、ユーラはそっとヴィオルの背に腕を回した―――――― |
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終わった・・・ あぁ〜やっぱり最後微妙・・・ ちょっとしたお題シリーズ第5段でした つーか! この二人を書くと、何故こうも甘ったるくなるのだろうか 今回はシリアスに頑張ろうと思ったのに、最後は甘甘たるたるになってるし・・・ 書いてて、なぜか照れ笑いが零れてしまうのは私だけでしょうか。 あっはっは・・・ ・・・大人な二人、いいなぁ ヴィオル好きだ・・・ というか、フェンリもユーラもヴィオルもみんな好きだ! さ、次回次回 『はじめまして』だね。 じゃあここで、友リヴのコキュ様でも登場してもらいましょうか。 今回もお題をクリアしたのかわかりませんが 書き逃げです。 さようなら〜 小説トップへ戻る? |
